
|
所 感 NPO法人国際ボランティア学生協会
学生代表 谷口純平(国士舘大学4年) この計画のプロジェクトリーダーに指名されたとき、「いよいよ始まる」と思わず武者震いがした。先輩達が積み上げてきた計画を実行に移す時、そして、これまで僕が学んできたすべての経験を出し切って挑むプロジェクト。様々な思いが交錯した。僕に求められているものは、花を咲かせること。植林した木々。日本で応援してくれる人たち。日本・中国・韓国の若者たち。それぞれの思いを未来に繋げるために、新しい花を咲かせることだと考えた。 プロジェクト最終日、「ポンヨウ」(中国語)、「チング」(韓国語)、「トモダチ」(日本語)と各国のリーダーが叫び、3国の学生が入り交じり肩を組み号泣しながら歌った中国の歌「朋友(ポンヨウ)」。この瞬間、花は咲いた。
作業初日、パトカーに先導されて現場に向かう。当初予定していた宿泊地潼関県の近隣で鳥インフルエンザに感染した鶏が発見され、急遽、西安から200`をバスで通うことになった。通常、西安からバスで片道3時間の道のりを、パトカーがサイレンを鳴らしながら先導し2時間で到着。ボランティアに来てこの扱いに戸惑う。今回、韓国から参加した学生のリーダーは、IVUSAが韓国常緑村(ハンセン氏病の患者が暮らす村)で毎年行っているボランティア活動で一緒に活動を行った仲間。中国の学生のリーダーは、西安外国語大学で日本語を習っている学生。日本語ぺらぺらで成績も優秀なエリート学生である。 作業現場には、毎日現場近くの中学高校から生徒が約100人手伝いに来てくれた。林業局の職員が付きっきりで作業内容をチェックし、指導したとおりに出来ていないとやり直すよう指導された。今回の目的はこの黄土高原に緑を取り戻すこと。早くたくさん植えても、活着率が低ければ何もならない。一つ一つ丁寧に植えることが大切なのだ。 まず、約40×40×50の穴を掘る。次に、穴に根が垂直に立った状態で苗に土をかぶせていく。苗の幹の先端が穴の縁から20〜15aになるまで土をかぶせたら、苗に向かってすり鉢状になるようスコップで土を整形する。その後50センチ四方のビニールをすり鉢状になった穴に沿うようにかぶせ、苗の幹の部分だけ穴を開ける。ビニールを押さえるために自転車の古タイヤを乗せ、タイヤからはみ出したビニールの端へ重し代わりに土を盛る。その後小バケツ一杯の水をビニールの上から流し込む。水はすり鉢に沿って、中心の穴(苗)に効率的に集まり、注がれていく。このシートの上に降った雨は苗に集まる仕組みになっている。さらに、このビニールは雨を集めるだけでなく、根の周りの土から水が蒸発することも防ぎ、また土に戻してくれる。まさに一石三鳥のシステムだ。その後、土手が崩れないようにタイヤをはずし、スコップで土手を固める。最後にビニールの中心に重し代わりに、一掴みの土を乗せ完成。これを1b30位の間隔で植えていく。 僕たちが作業しているこの現場は、高速道路からバスで20分ほどの場所である。その間の山、斜面を、僕たちは今後5年、いや後4年間で植林するのだ。その土地の広さに正直茫然とした。しかし、僕たちが植林する土地は、広大な黄土高原から見ると、ゼロに等しい広さだと知っている。 2千年の歴史の中で破壊され続けてきたこの黄土の大地は、本来の姿を取り戻すためには多くの時間と費用、そして手間がかかるのだろう。 日中韓の学生達は作業中も、食事中も、昼夜を問わず一緒に過ごした。そこに自ずと文化の違いを感じる。目上の人に対する接し方は、中国人学生は上司と接しているようで、韓国人学生は儒教精神からか、厳格な父親と接しているように感じた。また、中国人学生達は、中国社会の中ではエリートだから、土やほこりにまみれた作業は本来しないとのことであった。しかし、そんな彼らが僕らと共に土と汗にまみれて、笑いながら作業をしている事が僕は本当に嬉しかった。 作業最終日に現地の方から、「皆さんは、今日で、この場所が最後になります。この木々達に皆さんの気持ちが、植えられました。私たちは、この木々を守り続けます。だから、またここに、来てください」と話してくれた。その時、いつかここきて生い茂る木を、見たいと思った。 今回、私たちが植えた木は、ほんのわずかかもしれない。しかし、日本や韓国に飛来する黄砂の最前線である砂嵐舞う黄土高原で、活動を行い、一面丸裸の山々に木を植えることの意義を知り、一本一本大切な生命である木々に愛を持って埋める植林活動の難しさを知った。このプロジェクトは、やっと始めの一歩を踏み出したばかりだが、五年間の間に、後輩たちが、より多くの仲間と、より多くの花を咲かせることを切に願いたい。 最後になりましたが、このプロジェクトに、多大なる尽力を注いで下さった日中緑化交流基金、外務省、林野庁、中国青年人材交流中心、陝西省、韓国GREEN NET、また、関係者の皆様へ、この場をお借りし、厚く御礼申しあげます。ありがとうございました。 |
朋友
プロジェクトリーダー ![]() たにぐち じゅんぺい 1980年生まれ岡山県出身。 2004年3月国士舘大学政経学部政治学科卒業。 大学1年のときからIVUSAに所属し、様々な活動に参加。 2002年に行なわれたインド西部大地震災害復興活動では隊長を務め、2003年度、第11期学生代表に就任。 |
