◆背景   
 巨大な海水浴場があることで有名な九十九里海岸は9市町村からなる、約66Kmの太平洋に面した海岸線です。ハマヒルガオやコアジサシ、アカウミガメなど貴重な海浜動植物が生息し県立自然公園にも指定されています。 一方で観光客の残したゴミや、遠く海外から流れ着いたゴミによる砂浜の環境汚染も深刻です。
 この問題に対し、それぞれの地域で地元の小中学校や自治体、企業などが清掃活動を行っていますが66km全域を通しての清掃活動は実施されていませんでした。地域に暮らす人々とともに九十九里へ訪れる人々の環境保護に対する意識を活性化できたらと、本協会は2002年、それまで行われる事がなかった九十九里浜全域での清掃を実施しました。それ以来毎年8月に清掃活動を行い、今年で5度目を迎えます。現在の九十九里浜は、ゴミ問題だけでなく、砂浜の浸食、防災対策、漁獲高の減少など、多くの問題を抱えていると言われています。
◆目的   
 九十九里浜全域の清掃活動を通じて、観光客や地域の方々に改めて九十九里海岸が共通の自然財産であること、また本協会の清掃活動の理念である、「拾う心より捨てない心」をPRしていきます。
 また、韓国の学生と共に互いの国の清掃活動をすることを通じて、両国の交流を深めます。 さらに、今年度は過去4回の実績をもとに、「環境と観光の併存、減少していく砂浜への問題提起、災害に強い街づくり」など、地域が抱えている課題に対し、住民や自治体などとの連携を深めていくことで、若者の感性を活かした視点から提案を行っていきます。
◆スケジュール   
1日目/8月19日(土)清掃開始
8:30 新宿からバスで九十九里浜へ向け出発
13:30 千葉県白子町に到着 開会式
14:00 海岸清掃開始
19:30 清掃活動一日目終了
20:00 夕食
21:15 ミーティング
23:00 就寝
2日目/8月20日(日)清掃2日目
7:00 起床
7:30 朝食
8:20 清掃開始地点へ出発
9:00 海岸清掃開始
17:30 清掃活動2日目 終了
19:00 夕食
19:40 ミーティング
21:30 懇親会
23:00 就寝
3日目/8月21日(月)清掃最終日・交流会
7:30 起床
8:00 朝食
8:30 宿舎の掃除
9:20 海岸開始地点へ出発
10:00 清掃開始
16:00 清掃終了(合流)
17:00 交流会
20:00 交流会終了
22:00 小学校にて懇親会
23:00 就寝
4日目/8月22日(火)最終日・帰京
7:30 起床
8:00 小学校の掃除
8:30 研修施設へ移動
9:30 ミーティング
10:30 ブランチ
11:30 閉会式
12:00 バス乗り込み
12:30 新宿へ出発
14:30 新宿到着・解散
◆ルート   
1日目
ルート1全長:4.3km旭市竜王岬〜飯岡体育館
ルート2全長:4.2km旭市飯岡体育館〜福祉センター勤労青年ホーム
ルート3全長:4.6km旭市・匝瑳市福祉センター勤労青年ホーム〜新川大橋
ルート4全長:4.3km匝瑳市新川大橋〜新堀川排水機場
ルート5全長:4km匝瑳市新堀川排水機場〜大本山成田山御本尊神社
ルート6全長:4km横芝光町栗山川〜大本山成田山御本尊神社
2日目
ルート7全長:6.1km横芝光町・山武市栗山川〜木戸川
ルート8全長:6.7km九十九里町・山武市片貝漁港〜木戸川
ルート9全長:7.6km長生村・白子町一宮川〜古所海水浴場
ルート10全長:8.2kmいすみ市・一宮町太東海水浴場〜一宮川
3日目
ルート11全長:6.1km九十九里町片貝漁港〜真亀川(国民宿舎サンライズ九十九里前)
ルート12全長:6.7km大網白里町南白亀川〜真亀川(国民宿舎サンライズ九十九里前)
◆活動内容   
 新宿に約240名の学生が集まった。これからの4日間、全長約66kmの海岸線の全域清掃に挑む。 すでに、「拾いきる」ことの難しさは過去の活動で分かってていたが、完掃・完歩の原点に戻り、勝負をかける。 全域完掃を目指すにあたり、九十九里海岸を12ルートに区切った。これは過去の活動のなかで最多のルート数である。1日目に6ルートに分かれて清掃、2日目には4ルート、3日目に2ルートを設定し、昨年よりも距離を短くした。
1日目は、最北の6ルートを40人ほどで清掃する。砂浜に240人が揃い、開会式を行った。式には、直前の申し出にも関わらず白子町の林町長が駆けつけてくださり、学生たちに激励のお言葉をいただいた。また、一般受付を予定していたところでは地域住民が参加してくださった。気合十分に学生たちはルート別に6つのグループに分かれ、再会する3日目の合流までゴミを拾いきる。清掃日程直前に降った豪雨のため、浜には予想を大幅に上回る量のゴミが散乱していた。目の前のゴミと格闘し、やっと1日目の清掃が終わったときには辺りは真っ暗になっていた。全域清掃のなかでも一番長い距離を踏破しなければならないこの日、一般参加の窓口を設け、地元の方々と力を合わせて共にゴミを拾った。途中でいくつものの海水浴場を通り抜け、海水浴客に「拾う心より、捨てない心」訴えた。そこで毎日清掃をしているというライフセーバーの方が一緒に歩いてくださった。海水浴場のゴミが少ないのは、毎日の積み重ねなのだ。短い間しか浜にいない私達に今できることを、認識しなおすきっかけとなった。
 清掃最終日、1ルートを100名で清掃を行う。一般受付を設置した九十九里町の豊海海水浴場には、約150名の地元の方々が集まっていた。2日かけて浜を歩いてきた私たちに「お疲れ様!」と声をかけ励ましてくれながら、元気いっぱいにゴミを拾っていく。そして、南北から清掃してきた2つの隊が最終地点へ辿り着いた。合流の瞬間、240人の学生が挑戦し、多くの方々の協力によって実施された66km全域清掃は完了した。
 その夜、共に浜の清掃を行った地元の方々と交流を深め、これからの九十九里浜について語り合う場として、国民宿舎サンライズ九十九里にて交流会を行った。今回ご協力してくださった九十九里町の川島町長様、地元からは大里綜合管理株式会社の野老社長から労いと感謝の言葉をいただいた。軽食のあと、九十九里浜にある黒潮太鼓やよさこいチームが集まり、技を競った。私からは、九十九里浜への想いを叫ぶ「九十九里浜へのラブレター」というプログラムを組んだ。学生たちに負けてはいられないと、元の中学生や会社員の方、そして大網白里町の堀内町長まで、マイクにむかって想いをぶつけた。交流会の最後に、出席した地元の方々と学生が入り乱れてよさこいを踊り、大きな歓声のなか閉幕。地元の方々のエネルギーと学生のパワーで、熱気にあふれた時間を共有した。
 この3日間で感じたことや、これからの九十九里浜についてのミーティングを行い、海岸の環境をよくすることや地域活性についての意見を出し合った。その後閉会式を行い、全日程が終了した。
さまざまな想いを胸に、学生は帰路に着いた。
◆プロジェクトリーダー所感   
 私は、5月の末白子町で行われた「九十九里浜の夢を探る」シンポジウムに出席し、そこで白子町の林町長、大網白里町の堀内町長、そして今回大変お世話になった九十九里町の川島町長にお目にかかった。 これまでの活動の中では、このような形で地元の声を聞くという機会がほとんどなかった私は、そこで初めて九十九里浜の現在を認識したと思う。自分の息子や娘に、家業を継がせることができない、現在の環境を捨てても、文明の開発を選択する道がある。これが、今の生きた九十九里浜だと思った。実際にそこで生活していない私たちが、「九十九里浜はこうあるべきだ」と声高に言うことは容易い。しかしここには、生まれたときから浜を見て、浜を愛している人々がいるのだ。漁業組合の斉藤さんが「海から浜を見てほしい」と言ったとき、地域の底力は九十九里浜への愛情なのではないかと思った。自慢は白砂青松の景観と海の幸。それは昔も今も変わらない。しかし、時代の流れの中で環境が変化し、それが少しずつ失われていく。この変化のなかでも「守りたいもの、守らなければいけないもの」がある。それに対して私たちに出来ることは何だろう?
 もともと、この九十九里浜全域清掃大作戦は誰かに頼まれて始めたものではない。5年前、IVUSAの学生が発案して始めたもので、当初は夜中も清掃をして一日で全域を歩く計画だったそうだ。それでも楽しかったという学生がいたから、4年間続いたのだと思う。そして誰もやろうとしなかった全域清掃をやり続けたからこそ、昨年は地元の方がたくさん参加してくださった。過去4度の挑戦を想い、5年目を迎えた今年、どうあるべきか?全域清掃の原点に返り、完掃と完歩を目指し本気で九十九里浜にぶつかろう。その姿を見た地元の人々が笑ってしまうくらい。そして、その笑顔を見て感動できるような学生を連れて行こう。それが、第5回の挑戦だと心が決まったのは、すでに6月も終わる頃だったと思う。そして、これに答えてくださった九十九里町の川島町長には感謝してもしきれない。
 清掃活動の準備を進めながら、関係各所と打ち合わせを行うなかで、学生と九十九里浜の若者がひとつになり未来に向けた何かができないかと思い至り、今年も交流会を行うことに決めた。ただし、私たちがプログラムを組み、地元の方々にも多く参加して頂けるものにしなければならない。このわがままが実現したのは、観光公社の真光寺様や九十九里町商工会の皆さん、そして加藤光男さんの力に依るところが大きい。また今年は、九十九里浜海の家が撤去されたことや新しい浜のあり方を模索する意味でも、新しい海の家の提案を行った。昨年からお世話になっている小川信次さんの後押しを受け、白子町の林町長の協力を頂いた。さらに大網白里町の堀内町長、大里綜合管理株式会社の野老さんはじめ社員の皆様の助言は、企画の進行に不可欠だった。
 そしてたくさんの方に支えていただきながら当日を迎えた。1日目は道路状況によって到着が遅れたのにも関わらず、旭市の方々にご尽力いただいたために一般受付をすることができた。大変なご迷惑をかけたことを反省し、次回に生かしたい。また、直前の豪雨により大量のゴミが発生したため、距離を半分残してゴミ袋がなくなってしまうルートが続出した。そして定刻までにゴミを拾いきれず宿舎のバスを降りてきた学生の顔、そして時刻を過ぎてもバスを出してくださった運転手の方の顔は、次の日の課題を語っていた。2日目、午前中は雨に見舞われたが、前日の課題を挽回しようと、一人一人がゴミと格闘した。定刻どおりに完歩、そして完掃を終えた。
 そして清掃最終日、受付に約130人の地元の人々の姿があったときには驚きというより、衝撃だった。こんなにもたくさんの人々が応援してくれている。疲れが見え始めていた学生を励まし、共に全域清掃の最後を飾ってくれるという。支えていただける「ありがたさ」を改めて実感した。 そして全域清掃のフィナーレ、合流の瞬間はやってきた。南進していた学生と一般参加者混合の250人と、北進してきた120人の学生が一列に向かい合いながら進み、ゆっくりとひとつの塊になった。歓声が上がる。泣き出すもの、笑うもの、抱き合い称えあうもの、参加者の小学生に追いかけられるもの、そのすべてが輝いていたように思う。やがて一般参加者の方がひとつに集まり、野老社長や中学生から「ありがとう」と挨拶をいただいた。そして総勢約400名の記念写真を撮影し、いよいよ解散しようとしたとき、振り返ると青空に虹が出ていた。小さくて見逃しそうだけれども、とてもきれいな虹だった。 交流会では、小中学生からなる黒潮太鼓チームが舞台を盛り上げ、よさこいチームが乱舞した。IVUSAからのプログラムでは、学生に負けじとその場にいる地元の方が飛び入りで参加して「九十九里浜へのラブレター」を叫んだ。自然と笑いが起こり、いつの間にかお互いに拍手を送りあい、全員が入り乱れて踊った。
何かが変わると確信した瞬間だった。
 どれをとっても、昨年までの九十九里清掃がなければ実現していないものばかりである。その礎の上に今年は、このステージで新しい力を吹き込めたと感じている。九十九里清掃は、来年以降も続いていく。今後も、全域清掃の軸を持ちながら、さらに大きく広がっていくだろう。しかし、過信してはいけない。私たち学生は今回、「みんながいるからできる」と感じた瞬間がいくつもあった。
みんなとは、地元の人々、過去の先輩方、支えてくださるすべての方々、そして共に活動する仲間たち。全員が揃ったとき、はじめて不可能を可能にする力になるのではないだろうか。
 最後になりましたが、今回の活動を行うにあたり、本当にたくさんの方に支えていただきました。皆様のご協力がなければ、この活動を行うことはできませんでした。この場を借りて、深くお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。
法政大学3年 菊地 沙弥華
◆ ゴミ回収総量   
4850袋 (約23.5t)
◆参加者・参加学校   
総数418名
本協会会員238名
一般参加者180名
法政大学・国士舘大学・日本大学・早稲田大学・拓殖大学・フェリス女学院大学・関東学院大学
鶴見大学・立命館大学・東洋大学・桜美林大学・学習院大学・日本女子体育大学・東京理科大学
二松学舎大学・大東文化大学・立教大学・東京学芸大学・明治大学・多摩美術大学・城西大学
京都大学・武庫川女子大学・京都女子大学・奈良女子大学・大妻女子大学・洗足学園中学校
(順不同/総数27大学・1中学校)
◆清掃参加団体・企業   
大里綜合管理株式会社・九十九里ISOネットワーク協議会・株式会社アルバック千葉超材料研究所
千葉学芸高校・九十九里町立九十九里中学校・九十九里町立九十九里中学校・九十九里黒潮太鼓
大和
(敬称略 順不同/5団体1高校2中学校)
◆協力団体・企業・個人   
(協賛企業)
玉川衛材株式会社・コクヨ株式会社・大塚製薬株式会社・大塚ベバレジ株式会社・大黒工業株式会社
ダイドードリンコ株式会社・正栄食品工業株式会社・株式会社防犯ドットコム・株式会社加ト吉
アピカ株式会社・シマダヤ株式会社・オプティマ株式会社・株式会社ジャパンエナジー
(敬称略・順不同)
(協力団体・企業・個人)
千葉県・東金市・旭市・匝瑳市・横芝光町・山武市・九十九里町・大網白里町・白子町・長生村・一宮町
いすみ市・大里綜合管理株式会社・株式会社毎日コムネット・九十九里ISOネットワーク協議会
千葉学芸高校・九十九里町立九十九里中学校・法政大学・国士舘大学・国民宿舎サンライズ九十九里
株式会社アルバック千葉超材料研究所・九十九里黒潮太鼓・大和・浜っ子・九十九舞姫・恋いぶき
桜颯蘭舞・川島伸也・堀内慶三・林和雄・小川信次・仲野昭義・長倉庸子・加藤光男・石橋昌一
古川謙太郎・山口智
(敬称略・順不同)
◆宿泊施設   
サニーインむかい・竹の家・かねご・山中荘・東海荘・ホテルニューシーサイド
九十九里町立豊海小学校・つくも学遊館
(敬称略・順不同)
◆取材   
朝日新聞(千葉版)・東京新聞(千葉版)・稲毛新聞