ユースによる海洋ゴミ対策キャンペーン

(大人向け)ユースと活動する際に気を付けること

 日本財団と環境省の共同事業「海ごみゼロアワード」で見事最優秀賞を受賞されたNPO法人荒川クリーンエイド・フォーラム(ACF)の理事・事務局長である今村和志さんにお話をお伺いしました。今村さんは愛知県の豊橋から田原に続く表浜海岸(約50km)を歩きながら、泊まりながら、楽しみながら清掃する「表浜BLUE WALK」のサポートをされています。

Q.まずは「海ごみゼロアワード」の最優秀賞おめでとうございます。ACFさんは具体的にどんな活動をされているんですか?

詳しくはこの紹介動画を見てください。

Q.企業さんとたくさんコラボされていてすごいですが、何か秘訣はありますか?

 あるファンドレイジングセミナーで聞いたのですが、多くの企業の社会貢献活動に関する担当者が、信頼できるNPOをどう判別するか分からないそうです。ですから、行政や自治体の後援をちゃんと取ることや、これまでにも企業がこれくらい参加していますよと実績を見せることが大切です。

 ただ、私たちに活動に参加するのは上場企業が多いので、今後は中小企業にもアプローチしていきたいです。ちなみに外資系の企業は「景気が悪い時こそ、社会貢献する」という考えがあるそうで、最近は荒川クリーンエイドへの参画が顕著になってきています。

Q.ACFの今後の野望を教えてください。

 荒川では、国と流域の自治体、そして中間支援組織であるACFが一体となって環境美化に取り組んでいます。具体的にはボランティア活動で拾った粗大ごみは国が、それ以外の散乱ごみは沿川の自治体が回収費用を負担しています。ある程度の費用がかかる話ではありますが、この方式を他の地域や海外に広げて、より多くの河川/海洋ごみの早期回収に寄与できればと思っています。

Q.話は変わりますが、今村さんはユースを動かす「ツボ」は何だと思いますか?

 表浜BLUE WALKは2007年から始まって毎年続けていますが、参加者の数には波があります。その中でもリピーター率が55%を超えた時があったのですが、その時の特徴は運営メンバーがいい意味でおせっかいで、新しく参加した人をしっかりケアしてくれていました。

 参加者も口コミからが8割であり、「知っている仲間がいるかどうか」というのは非常に大きな要素だと思いますね。広報にお金をかけるよりも、スタッフの人財育成に力を入れ、参加者とより深い関係を築くことに心がけた方がいいかもしれません。

 あと、今のユースを動かすキーワードは、「自分にとって参加することがどんなメリットになるのか」というインセンティブと、承認欲求じゃないでしょうか。

 そして特に注意しないといけないのは、自分が「単に利用されているだけ」と思ったら、モチベーションは一気に下がる場合が多いです。

Q.ありがとうございました。その辺りのユースの「トリセツ」については、今後も一緒に研究していきましょう!

【今村さんプロフィール】
博士(工学)。特定非営利活動法人荒川クリーンエイド・フォーラム(英名:Arakawa River Clean-aid Forum)理事/事務局長。愛知県出身。企業の社会貢献活動のコンサルティングや学生を対象とした環境人財育成などを行っている。アカウミガメの繁殖に適した砂浜環境を調べる研究者。遠州灘(愛知県豊橋市)にてウミガメの繁殖実態を調査する中で海洋ごみ問題に関わったことを契機に、その解決に向けた取組を模索しながら展開中