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 6月14日、15日の2日間、IVUSA学生6人で日生諸島の里海保全と地域活性化を目的とした活動を行いました。今回は、地元の名産である牡蠣や、豊かな海の生態系を守る「アマモ」などの地域資源を活かしながら、次世代へと繋がる活動のあり方を模索しました。
 この活動の背景には、漁師の高齢化が進み、長年にわたって地域の象徴であった「里海」の保全を担う人々が減少しているという現状があります。

 こうした課題に対し、若い世代が地域の自然と文化に触れながら継続的に関わっていくことが求められています。今回の活動では、地元の小学生を巻き込み、里海の魅力や保全の大切さを伝えるとともに、持続可能な地域とのつながりを育むことを目的としました。

 1日目は、日生の海の生態系に欠かせない「アマモ」の回収および見学を行いました。アマモは海中で酸素を作り出し、水質を浄化し、魚介類の産卵場所にもなる水草です。高度経済成長期の開発により激減しましたが、地元漁師による保全活動の努力によって再び広がりを見せています。
 アマモの生育状況や回収方法についてのレクチャーを受けた後、実際に船を使って、アマモの整備作業を行いました。回収作業を通じて、海中の変化や保全の難しさ、また自然環境との関わり方について深く学ぶことができました。

 また、作業をふり返る形でワークを行いました。
「今日のアマモ回収作業の意味は?」「これからの里海保全に私たちはどう関われるか?」といったテーマについて話し合い、学生一人ひとりが自分の言葉で地域課題に向き合う時間となりました。

 2日目は、地元小学生約30名を招き、「牡蠣殻アート」のワークショップを実施しました。日生の名産である牡蠣の殻を活用し、子どもたちが自由に絵を描くこの企画は、楽しみながら海や地域に興味を持ってもらうことを目的としています。

 子どもたちは、色とりどりの絵の具を使って思い思いに牡蠣殻を装飾し、世界に一つだけの作品を完成させていきました。子どもたちの豊かな発想に私たち学生も感動させられました。
 
 活動の最後には、学生と小学生が作品と一緒に写真を撮り、感想を伝え合う時間を設けました。子どもたちの笑顔や、「また一緒にやりたい!」という声は、私たちの活動が地域にしっかり届いたことを実感させてくれました。

 ワークショップに参加していただいた小学生の親御さんからは、「学校で配られたチラシを見て興味を持ち参加しました。マイクロプラスチックの問題について初めて知ることができました。
 また、今回牡蠣殻や海岸に落ちているプラスチックを使う理由を学生の方から説明してもらって、日生と牡蠣のつながりや、海洋環境問題について深く考えるきっかけになったと思います」といったお声をいただくことができました。

 今回の活動では、海の自然環境を体感しながらその保全の大切さを学び、地域の未来を担う子どもたちと交流することができました。アマモのように目には見えにくくても重要な資源が存在すること、そして牡蠣殻のように捨てられるものにも新たな価値が生まれることを、実体験を通して深く理解することができました。

 今後も、若者が「関わり続ける」存在として地域とつながり、日生の豊かな里海文化を未来へと継承していくための活動を継続していきたいと考えています。  

 最後になりましたが、今回の活動にご協力いただいたすべての皆さまに心より感謝申し上げます。

 この活動は、日本財団、海と日本PROJECTの助成を受けて実施しています。